自分史-17-

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<太宰治>
太宰治の小説を読んでいるということを、他者には言えない恥ずかし味のような感情がありました。それは太宰が書いていた心情に同化していたからかも知れません。漱石を読んでる、とか藤村とか、なんか胸張って、読んでるよ、なんていう態度ではなくて、こそこそと読んでいる、という感情だったように思う。たとえば中島みゆきのファンだというには、やっぱり恥ずかしさがつきまとったみたいな、同化してしまう人のことは人に言えない。ひそかにエロ雑誌をみたり、エロ映画館へいっていたり、そういう隠す感情と同質なのかも知れません。

「斜陽」の直治遺書には、もうメロメロに陶酔するほどに共感したし、お姉さんのイメージにもいたく感動しました。会いに行って、不在でおうどんを食べながら待った、という光景がいまも思い出されますが、わびしい、しんしんとわびしさが伝わて来て、涙してしまうほどでした。ここだったか人間失格だったか、作中に西方のお家という地名があって、東京の本郷の東大の近くに西方という住所地があって、そこに勤めていた出版社の社長の自宅があって、西方、という場所で、太宰治を想ったことを思い出します。

桜桃忌には行ったことありませんし、津軽へも行ったことはありません。絶大なる人気者の太宰が、別の女と情死したとの情報で、増水する玉川上水で溺死した、なんてことを想像して、その死ぬ瞬間のことを想像して、戦慄してしまう自分がありました。もう5年ほど前か、調べ物をしていて、太宰の死体が引き上げられて、むしろがかぶされている現場の写真を見たとき、なにか、もう、なまなましい、というかそういう感情になりました。今年1月末、むかいの同期生の女子がお風呂で亡くなっていて、その遺体は布に包まれ運ばれるのを見て、太宰を思い起こしました。

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